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はにゃーんブログ

"はにゃーん"となるブログを目指しています!

【読書】エディー・ジョーンズとの対話 コーチングとは「信じること」

感想

ラグビーが好き、マネジメントに興味ありということで読んでみた本ですが、とても面白かった。 エディーさんはクオーターで奥さんも日本人ということで、考え方の基本は日本人らしくなくて日本人のことも知っているという稀有な存在。 そんなエディーさんが日本代表ヘッドコーチでW杯の偉業を達成する前に出された本。 基本的にはインタビュー内容がうまくまとまっていて、とにかく、日本代表は勝てる、勝ったら文化が変わる、ということを信じていることがわかる内容で、読み終わった後にタイトルを改めてみて納得。 そして、例の偉業が達成されるのだけど、それなのに現在・・・日本のラグビー界は変わってなく、へッドコーチも辞めてしまって・・・すごく残念。。 文化を変えるのはやはり難しいのか、、と感じてしまった。でも、いつか、またエディーさんがヘッドコーチに帰ってきて、日本変わったな、と言ってもらえるようになるといいなぁ。 そして、やはりラグビーは他の競技より集団の力をどう最大限発揮するか、ということが重要になるので面白いなー、と感じ、 今マネジメントをしてる自分が楽しくやれてる理由がなんとなくわかった。 マネジメント、ラグビー、あと日本人と海外の人の文化の違いに興味がある方であれば読んで損はない本です。

大切っぽいこと

コーチングとはアートである

  • 『どのサラブレッドにも速く走らせる方法はある。調教師(トレーナー)の仕事は適した方法を見極めるだけだ』これこそが、アートなんです。コーチの仕事はいかにそれぞれの人間の能力を最大限に引き出すか、それにかかってます。
  • 実際に、成功しているチームを構成する要素
    • ハードワーク
    • 楽しさ
    • 規律(ディシプリン
    • 柔軟性(フレキシビリティ)
  • 監督とヘッドコーチの違い
    • 英語でも、ヘッドコーチはそのまま『ヘッドコーチ』。『監督』は英語では『ディレクター』
    • 「ディレクター」:チームを「マネージメント」によって運営する統括責任者のこと。ディレクターはヘッドコーチに誰を起用するかを決めることもできるし、予算の管理、スポンサーとの折衝も仕事の一部。スキルがあればコーチングも。誰と誰を組み合わせれば最高の力を発揮できるかを考えるのはマネージメント面での「アート」
    • 「ヘッドコーチ」:練習と試合における、「現場の最高責任者」チームのパフォーマンスの責任者。
    • 日本では監督、ヘッドコーチ、マネージャーなど、役職の名前はそろっているのに、それぞれの仕事の定義が曖昧なのが問題
  • 原監督はすばらしい。原監督と話をしていると、選手たちは『自分は必要とされている』と感じられるのでは。

日本人はアートときくと、仕事とは結び付きにくいと感じるが、もっと仕事はアーティスティックにやるべきなんだ。

イデアをいかに生かすか

  • 日本人コートたちは「説得する」、「理解させる」といった表現を使うがエディーさんはダイレクトに「セールス」を使う。
    • 選手たちは、なんでもはい、はい、というけど実際にはわかってなかったりする。返事を得るだけではなく、信じてもらう必要がある。そのためには何度でも納得して買ってもらうまでセールス(笑)
  • ハーフタイムに何を話すか。
    • パフォーマンスが悪い選手がいたとき:怒るのでなく、「彼は今までチームの勝利に貢献してきた。みんな、分かっているだろう?けれど、今日はあまりいいパフォーマンスをしていない。だったら、みんなで助けようじゃないか」。(ときには荒療治もするが)
    • 怒るときには、勇気が必要。もちろん、逆効果になる場合もあるから。チームの流れ、雰囲気を敏感に察知することが大切。チーム全体が落ち込んでるときには、ソフトなアプローチをかけた方がよい。怒りをぶつけてもそれに反発するだけの力がないこともあるから。怒るのは選手たちにまだパワーが残されているときでないといけない。あと、いつも怒っていては効果はなくなってしまう。怒られることに慣れて選手の感覚が麻痺するだけ。感情的になるタイミングを見極めなければいけない。これもまさにアートの領域。

どのタイミングで怒るか、はいつも悩みどころだが、選手のコンディションをしっかり見てないといけなく、またそのコンディション状態によってわければよさそう。

数字を使いこなす

  • 日本では「この仕事をしっかりやりましょう」と、全体像を提示することなく、一部のパーツを任されることが多いのでは。そして、その仕事が全体像の中でどんな意味を持っているのかを理解しようとしない。パーツできれいに仕事をこなせば、ほめられるので、「次」のことを考える習慣がない。ラグビーでもよく観客が「ナイス・タックル!」と叫ぶが、この言葉をかけられると満足して、ハッピーになってしまう。そこで一度気持ちが切れてしまっては、連続性を重んじるラグビーでは効果的なプレーに繋がらない。全然ナイスではない。
  • 確かに、日本医はひとつのことにフォーカスできるスポーツが盛ん。サッカーやラグビー、バスケットボールのような連続性が重視されるスポーツでは、日本と海外の選手の大きな違いとして、フィジカルの面がよく指摘されるが、実はこうした流れの中の動き、判断力に大きな差があるのだと思う。

勝つための組織作り

  • ニュージーランドでは、常に「この選手がオールブラックスだったら・・・」という視点で考える。いまのポジションで通用しないと思ったら、すぐに通用するポジションにコンバートする。それがコーチの成すべき仕事。日本の高校レベルでは、納涼の秀でているバックスの選手は、フルバックに起用されることが多いが、それはそのチームにとっては有益かもしれないが、世界のレベルでその選手の将来を考えたとき不利益になってるかも。
  • コーチに必要とされるのは、最終的な到達点のイメージを持つこと。ただ勝つためでなく、どういったスタイルで戦うか、とか、選手の育成とか。様々な可能性を考慮し決断していくときの拠り所となるのが、自分のイメージ。
  • アーセナルのトレーニング施設は美しい。美的感覚が統一されているから。そこは「美しいサッカーをしたい」というベンゲルのビジョンが具現化された場所。
  • いいチームというのは、クラブハウスに入った瞬間に「あっ、こういうことをしたいチームなんだな」というのが理解できるもの
  • 試合前のプランに拘泥していては勝利を逃す。試合中は感覚を研ぎ澄まし、己の直観を信じてそれに従わなければならない。「価値にいくための勇気」が必要。
  • ミスをしないことに意識が向きすぎていて、ルーキーにチャンスを与える勇気がない。これは日本的なメンタリティ。

革命の起こし方

  • 日本では負けたチームにフォーカスが当たる。試合に負けて泣くくらいなら、すべての感情を試合で出し切ってほしいと思う。
    • “hidden pride(隠れた誇り)"という表現を使ったが、たとえ負けたとしても、自分たちは出来ることをすべてやって負けた、それを誇ってもいいのではないか、というニュアンスだろう。
    • アメリカでは"moral victory"負けたとしても最後まで諦めずにプレーしたとか、最後に一矢報いたという表現が用いられる。
    • スポーツの一つの目的は勝つこと。そのために膨大な時間を費やすのだから、勝者に注目してしかるべきなのでは。
  • 計画を立てるときに最初に行うのはターゲットとなる相手との「ギャップ」の分析。分析をあらゆる角度から行ってそこで抽出された課題に優先順位をつけて解決していく。

教育の価値を考える

  • モダナイズ(近代化)には様々なパターンがあり、そこに「アート」が生まれる余地がある。
    • オールブラックスの、相手をフィジカルで圧倒するというスタイルも、現代では方法を変えている。かつては白人中心の体格に恵まれたチームでフィジカル面で圧倒していて、密集では荒っぽいこともしていたが、今は許されない。では、相手を恐れさせるためにどうするか?現在では身体能力に優れたアイランダーたちがコンタクト、スピードで相手を圧倒する。これが「モダナイズ」怖がらせるということには変わらないがスタイルが違う。

コーチング最前線

  • リーダーになるべき選手の条件
    • 自分が所属しているチームで絶対に勝ちたいと思っていること
    • 懸命に練習すること
    • 他の選手にポジティブな影響力を及ぼし、責任を持たせられること

ラグビーの世界地図

  • スポーツで成功するための秘訣
    • 本当にそのスポーツが好きで、好きでたまらないこと
    • 自分が苦しい生活から脱出するためにスポーツに真剣に取り組む
  • かつて選手で、何かというと痛がり、プレーに前向きではない選手がいて、事情を探ってみると、自分の家族だけでなく、親戚の面倒も見なければならない立場でお金が必要だった。そこで、インセンティブを与えるようにしたら素晴らしいパフォーマンスをした。

これはちゃんと選手を見てないとできないことだし(普通だったら、あいつパフォーマンス悪いから外しちゃおうとなるだろう)、ちゃんとインセンティブが出せるように周りにかけあうことができる素晴らしさがある。

ラグビーの世界地図

  • 様々な文化を背景に持った選手たちがチームに集まってくれば、必然的にチームの環境も変わる。ヘッドコーチに求められるのは、「新しい環境」を作り、うまく機能させること。

エピローグ

  • 社会に「ノーミス志向」が強ければ、クリエイティブに考えたり、決断していく方向に選手を仕向けることはできない。選手たちに決断してほしい。ただ、日本の社会では選手が決断したあとで「それは間違っていた」と否定することが多い。コーチにとって大切なのは、「選手はなぜそういう決断をしたのか」を考えること。それを理解することが「アート」
  • 日本は第二次世界大戦後に、国を作り直した。アジアの他の国とはスタンダードが違った。これは素晴らしいこと。ではなぜそれが可能になったのか?日本らしさを生かし自分たちの方法で再建できると信じたから。悲観的になることはない。日本代表が勝つことで、日本の文化は変わる。